《MUMEI》
―承―
『彼らの目の前には血の海が広がっていた。
真っ赤な鮮血の色ではなく、黒ずんだ血の海。

そして、あちらこちらに無造作に置かれた人間の部位…。


初夏の熱気を閉じ込めた部屋には、嗅覚が狂う程の腐敗臭が漂う。

そこに居合わせた警察官達が吐き気を催す程に、そこはまさに地獄絵さながらだった。



彼らは直ぐに遺体の部位回収に取り掛かった。

部屋中、ありとあらゆる所に人間の体がばらまかれていた為、それを探す彼らの姿はまるで宝探しをする子供達の姿を連想させた。


小さな部屋の割りに物が多く、捜査は二時間近くに及んだ。

が、しかし…

必死の捜索にも関わらず、彼女の頭部と両足だけは見つかる事はなかった。』

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫