《MUMEI》
第一話
時刻は夜、22:30頃。

暗闇を飛び交っている"何か"がいた。

"何か"は四足歩行で狼いや、狐のようにも見える。体長は5m前後。かなりでかい。狐や狼はこんなにでかくない。

"何か"は屋根を走っている。ふと、違和感を感じた。気にせず走っていると、目の前に白いマントを羽織った人間が。"何か"の頭は目の前の人間を食らおうとすることだけを考え、舌をだらしなく口からだし、涎をまきちらしながら、向かっていった。人間を食らいたくないという気持ちがあったのか、躊躇ったみたいだが空腹に負けたようだ。

口を大きく開け、獲物を食べようとした。ガチンッという音がした。瞬時に悟った。獲物を逃したと。しかし、それはないはずだ。なぜなら、"何か"は音速で獲物に向かったのだから。人間は今頃、自分の腹のなかにいたはずなのにと、混乱する。混乱していた、"何か"は夢か幻かと勘違いし、動き出そうとすると、体が動かなくなっていた。

「グゥウウ!?」

糸によって自身の体は縛られていたのだ。しかし、このぐらいと、体に力をいれ、引き千切ろうとするが、千切れない。
"何か"は、ますます混乱した。混乱しているところに先程、食らおうとしていた、人間がいた。相変わらず、顔は見えない。

近くまで来て、知る。自身と匂いが同じだと。しかし、この匂いは脅威だと、頭の警報がぶっ壊れそうなぐらいなっている。
"何か"は思った。こいつはなんだ?こいつは獲物(人間)じゃないのか?ますます混乱する。すると、"何か"をじっくりみた、人間は、

『大丈夫か?』

と言葉を発した。驚愕した。人間が自分等と同じ言語で会話したのだ。意志疎通ができた。今まで、人間を食らおうとしていた、思考がサッパリなくなるくらいに。実は人間と、裏の世界の化け物の言語は違う。いくら、話そうと勉強したって話せない。人間と会話できるのは、上位の化け物だけ。

"何か"は今まで、人間を一度も食べていない。そもそも、"何か"は人間に興味があり、表に来たのだ。しかし、裏から来たからといって、"何か"と戦おうとする。意志疎通もできない。ならば、逃げるしかない。散々逃げたあげく、食料が無くなったため、何か食べ物はないかと、目の前の人間を食べようとしたのだ。

"何か"は人間と意志疎通できたことに涙を流し、倒れた。さすがに空腹に耐えきれず、気絶してしまったようだ。

人間は"何か"を糸から外し、持ち上げて何処かに運んでいった。

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