《MUMEI》
第二話
俺の名前は松川 忍。一応、日本人。

赤子の頃に松川家に引き取られた俺は自分の父と母の顔はみたことないが、千尋姉さんや、彰兄さん、彼らの親、松川 正宗さんと、松川 夏奈子さんがいる。

「しのぶ〜?」
「何ですか?」
「おつかい、行ってきてもらえる?」
「分かりました」
「ありがとう。全く、彰といい、千尋といい、少しは手伝って欲しいわ」
「あはは」

彰兄さんは高校二年生。千尋姉さんは高校一年生。俺は中学二年生。彰兄さんや、千尋姉さんは高校に入ってから態度が色々、変化した。夏奈子さんに聞いてみたら、「反抗期かしら〜?」と言われた。何でも、親の言われた事になんでも反抗してしまうらしい。

「いってきます」
「ありがとね、しのぶ。いってらっしゃい」

これが日常である。いつも通り、街へ、買い物に。魚買ったり、醤油買ったり、色々。

帰り道、駄菓子屋によってごりごり君というゴリラがアイスを食べているイラストのアイスを買った。一つ100円。

シャリシャリと食べていると公園についた。公園には彰兄さんと、兄さんの彼女の桜さんがいた。

「彰兄さん」
「ん?おお、忍か」
「桜さん、こんにちは」
「忍くん、こんにちは」

元気よく挨拶をする。

「忍、その袋は?」
「買い物」
「ああ、なるほど」
「忍くん、偉いね〜」
「ありがとうございます」

照れた。人に誉められるのは嬉しい。

「では、自分は家にかえって渡さないといけないので」
「忍、じゃあな」
「忍くん、またね」
「桜さん、彰兄さんを頼みました」
「うふふ、分かっているわよ」
「では、また今度」

指定された荷物を持って、家に帰った。

家に帰って、荷物を渡すと、ありがとうと、再度言われた。

自室に戻ろうと、階段を上がると、千尋姉さんの部屋からワイワイ、キャアキャアと声が聞こえる。友達とまた遊んでいるのだろう。自室の扉を開けようとすると、

「しっのぶ〜!」

と部屋から出てきた。

「何をしてたの、千尋姉さん」
「スバルを触りまくってた」

スバルとは、狼のような狐のような、姿をしており、衰弱しているところを俺が運んで、少しずつ御飯をあげていったら、なついた。スバルに『一緒に住んでもいいですか』と言われた時はすぐにオーケーした。一応、親にも許可を取ろうと、話してみたらあっさりオーケーを出された。

「スバル、撫でられるの好きだからね」
「ふわふわで、暖かいし」

部屋から

『忍?』

と声を掛けられた。一般人には犬が鳴いているようにしか聞こえないが、俺は一般人とは違う

「ああ」

何処が違うのかというと、手から糸を作り出せて、飛ばせたり、鉄のような硬い糸を作り出して、相手を縛り上げたりできる。後、化け物と呼ばれる、スバル達と会話ができる。

そんなわけで、スバルと一緒に暮らしている

『スバル、俺の部屋に来な』
『分かりました』

スバルと同じ言語で話しているので、周りからは狼のような鳴き声を真似していると、時々、暖かい目で見られる。恥ずかしい。どうにからないかと考えていると、俺を拾ってくれた松川家当主 松川 英智(まつかわ ひでのり)さんに聞いてみたら、なんと、念話という、自分が念じた事相手に言葉に出さずとも伝える技術を教えてくれた。このおかげで、わざわざ、犬の鳴き声しなくても伝わるようになった。念を扱う技術に俺は才能があるそうで、土日辺りに念の技術を学んでいる。

まあ、そんな事はさておき、部屋にスバルを連れてきた俺は、千尋姉さんの友達、春風 菜奈(はるかぜ なな)さんに挨拶をする。

「こんにちは」
「おっ、忍くんじゃないか!」

菜奈さんは元気一杯でいつも明るい。暗いときは定期テストで、赤点をとって絶望しているときだけ。泣きつかれた事がある。菜奈さんは文系が得意らしい。理系、特に数学が苦手だそうだ。

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