《MUMEI》 広い、とにかく広い。それからなんやかんやあって、城に着いた。 ハグリッドが樫の木の扉をノックすると、扉が開いて厳格な顔つきの魔女が現れた。 「マクゴナガル教授、イッチ年生の皆さんです」 「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」 扉が大きく開く。 玄関ホールが広い、とにかく広い。 玉狛支部が丸ごと入るぐらいに広い。 そんな広いホールを横切って、窮屈な部屋に詰め込まれる。 マクゴナガル教授が口を開いた。 「ホグワーツ入学、おめでとう」 キリッとした瞳が、オレ達に指令している時の本部長にそっくりだ。 「新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席につく前に皆さんが入る寮を決めなくてはなりません」 マクゴナガル教授の話を要約すると、寮はグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの4つ。 寮の仲間は家族のようなもので、おはようからおやすみまで一緒。 それぞれの寮には輝かしい歴史があって、寮対抗のイベントがいくつかあるらしい。 「……まもなく全校列席の前で組分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」 マクゴナガル教授は部屋を出ていった。 とっきーの後ろ髪が跳ねている。 ポケットに入れた水のスプレーで、こっそり髪を整えておく。 「佐鳥、櫛持ってるか?俺の間違えて荷物に入れたっぽい」 「ん」 「さんきゅ」 東さん__春秋と呼ぶのは慣れない__は、すごい癖毛なのだ。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ABC順で並んで大広間に入ると、先輩と先生に挟まれるような位置に立たされた。 目の前にスツールが置かれる。 更にその上に古ぼけた帽子が置かれた。 暫く帽子を見つめていると、その帽子がピクピク動いて歌いだした。 『私はきれいじゃないけれど 人は見かけによらぬもの 私をしのぐ賢い帽子 あるなら私は身を引こう 山高帽子は真っ黒だ シルクハットはすらりと高い 私はホグワーツ組分け帽子 私は彼らの上をいく 君の頭に隠れたものを 組分け帽子はお見通し 被れば君に教えよう 君が行くべき寮の名を__』 前へ |次へ |
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