《MUMEI》
漬物美味しいbyマルフォイ
上座のダンブルドア校長が立ち上がって、ニッコリ笑った。

「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい」

いったい何だろうか。
若干身構えて、その先を待つ。

校長は口を開いた。

「では、いきますぞ……そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

……まじか。
いや確かに二言三言だけどさ。

「はぁ……っっ!?」

不思議な光景。
一瞬目を離した隙に、目の前の皿が食べ物でいっぱいになっていた。
他の生徒達はもう食べ出している。

「「い、いただきます……」」
「サトリ、それは何の儀式だい?」

マル……ああ、そうだ。マルフォイだ。
マルフォイが、両手を合わせて「いただきます」したオレ達を不思議そうに見てくる。

「ああ、これは日本の風習。食べ物の命を頂くから、“いただきます”って言うんだ」
「そうなのか……」

あ、フォークとナイフとスプーンだけかと思ったら箸あるじゃん。
さすがダンブルドア校長。

とりあえず、皿にグリルポテトとベーコンと白身魚の塩焼きだけ取る。
オレ達がいるからか、白米と味噌汁も用意されていた。
後ろのテーブルのとっきーと、顔を見合わせる。

「和食あるね。お米硬いけど美味しい」
「ほんとだよね。塩焼きもなかなかだよ」
「千佳ちゃん大喜び……ってか漬物あるじゃん」
「うわほんとだ柴漬け超ヤバイ」

ちなみに味噌汁の味噌はダシ入りじゃなかったのでめっちゃ辛かった。
とりあえず持ってきといた某出汁の素を入れて飲んだらとても美味。

みんなに持たせといてよかった……!!

「お米美味しい……漬物美味しい……味噌汁美味しい……和食最高……!!」

よし、自室には糠床を作ろう。

「マルフォイ、ドラコって呼んでいい?」
「ああ。ケンって呼んでいいかい?」
「いいよ」

ちょっぴりマルフォイと仲良くなった気がする。

「……佐鳥、漬物取ってやろうか」
「賢でいいのに……ありがと、お願い」

秀次が色々な漬物を取ってくれた。

「……漬物って?」
「これ。こっちの白米にのせて一緒に食べるものだよ。ピクルスみたいなものかな」

白米にキュウリの浅漬けをのせて差し出す。
やっぱ漬物の初心者向けといったら浅漬けだよね。

「……お、美味しい……」
「でしょー?オレはこっちの糠漬けも好きだけど、この辺は好みが分かれるからねー。今度日本から送ってもらうやつ、一緒に食べる?」
「ああ」

マルフォイとかなり仲良くなった。

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