《MUMEI》

「もういい」

恋人は低い声で呟いた。

「はぁ?もういいって何だよ、お前は思春期の中学生ですか、ってオイ」

「お金ここにおいとくね」

「待て、待て待て待て。それはオカシイだろ、いつもはもうちょっと遊ぶだろうが」

「もうやだ」

どうやら俺は引き際を間違えたらしい。感情豊かで表現が率直だが、今まで本気で怒ったり本気で泣いたりしたことのなかった恋人のあまりに不機嫌な声に軽くパニックになる。

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