《MUMEI》
第二十話
一旦、お開きになり、皆、それぞれの自室に戻った。桜井以外は。桜井はもしかしたら、王子さんの奴隷になるかもしれないので。

「桜井」
「ん?」
「寝ないのか?」
「まだ、昼よ?」
「ま、そうだけど」

しかし、まさか、王子さんが桜井を狙うとはね。

俺は密かに『ミニロボ(1)』コインを作った。このコインはオリジナル魔法のコインだ。コインに魔力を流すと、コインが変形し、5cmあるかないかの小人になる。この小人を操り、あらゆる情報を手にすることができるし、暗殺だって可能だ。ミニロボ(1)は小さいスナイパーライフルを持っており、弾は貫通力が絶大で、ヘッドショットが決まれば、相手は絶命する。さらに、意識して動かさずとも、自動的に動いてくれる優れもの。

「桜井」
「ん?」
「一応、一枚じゃ、あれだから、何枚か、『無効魔法』コインを渡しておく」
「ありがとう」
「あと、『解除』コインも二枚ほど渡しておく」
「あ、ありがとう。ねえ、何でここまでしてくれるの?」
「そりゃあ、心配だからだろ」
「/////」

なんか、桜井の顔が赤くなったんだが

ミニロボさんは今、王子さんを見張っている。

無効魔法コインと解除コインを持った桜井はポケットから、小さい革製の袋を取り出し、その中に入れた。

ミニロボさんから、情報が入る。やはり、桜井を自分のものにしたいらしく、腰に二つ奴隷の首輪をかけ持ち歩いていた。王子さん、だんだんこの病室に近づいてくる。

ついに、ガラッと扉が開いた。

「桜井さん!」

王子さんがハァハァと、息を荒くしながら入ってきた。それはもう変態親父と変わらない。

「桜井さん、いや、佐奈。君を今から僕のものにするからね」

キモい。素直に思った感想だ。
桜井が抱きついてきた。顔を青ざめて。一方、ストーカーのような顔をした、王子さんはすごい顔でこちらを睨めつけている。

「おい、貴様、私の佐奈からはなれろ!」


王子さんが怒鳴り付けてきた。佐奈の頭に手を置き、ポンポンと優しくなで、落ち着くようにした。

「貴様、私の佐奈に触るな!」

王子さんがうるさいけど無視した。

「なるほど、よし、分かった。貴様にこれをくれてやろう!」

王子さんは首輪を投げてきた。あえて、避けない。首にかかった瞬間、強制力がかかる。それと、同時に、『無効魔法』コインと『解除』コインをつくり、魔力を流す。

「カチャン」

首輪の鍵があいたようだ。よかった。魔法が無効化されるかと思った。首輪は重力にしたがい、床に落ちた。
王子さんは固まっている。

「は?」

たっぷり、数十秒かけ正気を戻した王子さんは

「はへ?」

またもや、固まった。

「おーい」
「はっ!」

正気を取り戻したようだ。

「な、な、なななぜ、だ?」
「いや、魔法を無効化する方法を知っているから?」
「なんだと・・・・」

王子さん、顔、真っ青。
なんということでしょう。先程まで、荒い息をしながら恍惚として病室に入ってきたあの顔はなんと、いまや、青に。いや、真っ白に。テンプレすぎて笑えない。

「HAHAHAHA、これは夢だろう。僕が失敗するなんてあり得ない」

残念ながら夢ではない

「な、何故だ、何故、このような邪魔者がいるんだ。くそ。しかし、まあ、いい。貴様はこれで木端微塵にしてやるぅ」

と、腰から何かを引き抜いたと思ったら、聖剣のような剣だった。しかし、禍々しい色をしている。

「これは、聖剣だ!」

いや、どう見ても違うだろ。君の目は節穴かい?

「お、お前、この人類最強の僕を、バカにしたな。顔に出てるぞ!」

自分で人類最強とか言っちゃうとか、笑える

「く、くそぉ〜」

バカにしている雰囲気が分かったのか、悔しがっている。

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