《MUMEI》

柔らかな陽光は燦々と降り注ぎ、俺たちを照らしている。
その暖かさとは別種の、胸にひろがるじんわりとした温かさ。
うわー、うわ。すげぇ。俺、忘れてた。彼女、覚えてた。

「ホン、トは昨日買うつもりだったん、だけ、ど、いそがしくて」

「・・・・うん」

「朝、買いに行こうと思った、ら、なかなか見つからなくって、」

「うん」

「なの、に、ケンカとかしちゃ、うし」

「・・・・うん」

「彼氏のたんじょ、びに、別れ、ちゃうかとおも、思った」

涙まじりに言う彼女、いつもどんだけ言ってもヘコまない彼女。

「・・・・ごめん」

「・・・・・・・・それだけ?」

「ありがと」

春の陽光は優しく降り注ぎ。
俺たちを照らしていた。



注意点@:優しく丁寧に扱ってください

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