《MUMEI》 弟の思い、兄の思いオレには、3つ上の兄がいる。らしい。 らしい、というのは、実際に会ったことはないからだ。 ただ、オレと同じような茶髪__というより、鳶色の髪らしい__で、目が綺麗な空色だってことだけは知ってる。 母親はオレが生まれてすぐに近界民に殺された。 それを聞かされたのは、ボーダーに入ってからだった。 オレの兄もボーダーの隊員らしい。 それならいつか会える、と思っていた。 その考えは、甘かった。 ボーダーに入って、早3年。 オレは、未だに兄と会えていない。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ おれには、3つ下の弟がいる。 おれよりも少し薄いカプチーノ色の髪と、若葉色の瞳。 少したれ目気味で、黙っていればなんて揶揄されたりもする2.9枚目。 あいつが生まれてすぐ、母親は近界民に殺された。 あいつがそれを知ったのは、ボーダーに入ってから。 それと、あいつは実の兄__つまりはおれの事だ__に会いたいと思っているらしい。 けれど、おれはあいつを避ける。 あいつはおれを知らなくていい。 おれのこの歪んだ想いには、気づかなくていい。 だから会わないようにする。 その考えは、自分勝手だったのかもしれない。 ボーダーにあいつが来て、早3年。 おれは、そろそろ覚悟を決めなきゃならない。 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |