《MUMEI》 再会覚悟は決めた。 今日、16年前より大分変わっただろうあいつと久々に会う。 おれは、嵐山隊の作戦室へと歩を進めた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「おお、迅!ちょうど良かった!お前はまだ、うちの狙撃手とは会ったことがなかったよな?」 「ん、おう」 作戦室に、嵐山さんとそっくりの人が来た。嵐山さんの親友で、迅さんというらしい。 綺麗な顔だな、オレなんかとは大違いだな、なんて思っていたら、嵐山さんに手を引かれる。 「こいつが、うちの狙撃手だ」 「あ、嵐山隊所属、佐鳥賢ですっ!!」 慌ててぴしっと姿勢を正すと、迅さんは苦笑する。 「んな緊張しなくていーのに……あ、おれは迅悠一。よろしくな」 差し出された手を握る。 瞬間、頭の中に声が流れこんできた。 『初々しくてかわいいな……』 「っっ!?」 思わず手を引っ込めてしまった。 しかも、ちょっと頭がずきずきする。 その場にしゃがむと、嵐山さんが背中を撫でて手を差し出してくれた。 「賢、大丈夫か?」 けれど、その手に触れた途端、嵐山さんの声が頭に響く。それでまた頭がずきずきする。 『気分が悪いのか?医務室に連れていくべきか』 「え……」 変な声が出てしまった。 嵐山さんに手を引いて立たせてもらうと、迅さんが至近距離でオレの顔を覗きこむ。 「嵐山、ちょっとこいつ借りてっていい?」 「別にいいが……なんでだ?」 「いやー、ちょっとな」 …………オレ、何されるの? 前へ |次へ |
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