《MUMEI》
沈んだ気分。
「あ、充!おはようっ!」
「おはよ、佐鳥。おいで」

大広間のテーブルで、両手を広げた充にぎゅむっと抱きつく。

「ふふ、充はあったかいなぁ」
「佐鳥は冷えてるね」
「そりゃね、部屋が部屋だからね」

充にすりすりして甘えていると、いつの間にやら修達グリフィンドール勢が来たらしい。
遊真がかたんと席を立つ。

「オレ達も挨拶行く?」
「佐鳥はスリザリン生なんだから、グリフィンドール生と仲良くしてたら変な目で見られるよ」

オレは、充の言葉に少し唇を尖らせて言い返す。

「充だってハッフルパフ生じゃん」
「……おれはいいの。佐鳥の相方だから。佐鳥といるのが幸せだから」

オレを抱きしめる充の腕に、力が入った。

「……ありがとね」

さっきからオレに突き刺さる、周りの視線。
全部の寮の生徒から向けられているようなそれは、充の機嫌を悪くした。

「佐鳥、一番端っこ行こう」

オレの手を強く引いて、一番端の椅子に向かう充。

その横顔は今までで一番険しくて、とっても申し訳なくなった。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

「いただきます」

沈んだ気分で朝食を摂っていると、後ろから遊真に声をかけられた。

「さとり先ぱ……さとり、大丈夫か?」
「……大丈夫だよ」

笑ってみせると、「……つまんないウソつくね」なんて言われてしまった。サイドエフェクトって怖い。

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