《MUMEI》
第五話
「さ〜て、ひと狩いこうかな」

時刻は午前0時を過ぎようとしている。スバルから化け物が出ると聞いた。

屋根を忍者の様に走る。飛ぶ、また走る。しばらくすると、結界のような場所に入った気がする。薄い布を潜ったみたいな感じだ。

すると、近くのデカイ公園から戦闘音が聞こえてきた。カンッ、キンッ、といった音だ。忍び足で近づくと、どうみても日本人ではない、高校生くらいの赤髪の少女が化け物と対峙していた。
彼女は腰の刀を握った瞬間、ブレた。正確にいうなら、もの凄い速さで刀を抜き放ち、敵をこれまた、見事な速さで切りさばいた。臓物や血すら彼女の体を汚さなかった。化け物は体をバラバラにしながらゆっくりと倒れた。彼女は一息つくと、刀を鞘に戻す。先程の攻撃は一般人なら見えない。しかし、俺は生憎、一般人ではない。一連の動作がバッチリ見えた。

俺は見ているのがバレた時、面倒なので、糸を加工して、包帯の様にしたあと、体全体を覆った。色は暗闇に溶け込むような黒だ。忍者のような格好で顔を隠す。

しばらく観察していると、左、右と辺りを見て、俺と視線があった。じっと、見てくる。かと、思ったら、腰の刀を再び抜き放った。

瞬間、風の刃だろうか。目の前にあった草を切り払った。

バッチリ見られた。

逃げる?戦う?。二つの選択肢が頭を混乱させる。と、

「あなたは・・・?」

少女が言葉を発した。

「え?」
「!?」

よく聞き取れなかったので、聞き返すと、驚かれた。

「話せる?」
「ああ、うん」
「人間?」

どうするか。ここは正直に言うか。

「うん」
「!?」

ますます、驚かれた。

「・・・・・その体は?」
「訳ありで」

怪訝そうな顔をされた。

「・・・・私に着いてきて」
「うーん、いやだ」

断る。知らないひとに付いていったら駄目って学校で習ったもん。

「どうしても?」
「ああ」
「・・・・・・じゃあ、戦う?」

え?

「帰してくれないんですか?」
「私にはこの状況を解決できる方法を知らない。だから、連れてく」
「どこへ?」

嫌な予感。

「EH」

ほら、やっぱりな。分かっていたさ。

「拒否するなら戦う?」

何故、拒否したら戦うんだろう

「俺は貴女がここにいたとこしか見てないんですが?」
「だめ」

駄目って。やだね。

「やだね」

あ、つい本音が。

「じゃあ、戦う」

瞬間、彼女は俺の目の前に。剣を抜き放ってきた。

避ける。足をかけてきた。ジャンプ。峰打ちを狙ってきた。後ろの木に糸を飛ばし、引っ張る。避ける。進Dの巨人のみたいな動きをした。

「あなた、何物?」
「人間」
「嘘」

また斬りかかってきた。

「なんで、当たらない?」
「当たったら痛いから」

普通の返答。

少女は一旦、刀を鞘に戻すと、居合いの体勢を取った。

「居合い:壱の型」

首をかしげる。
瞬間、少女は刀を抜き放ち、迫ってきた。白羽取りをなんなくこなした俺は、衝撃を後ろに流す。背を向けていた後ろの木が衝撃によって、ぶっ飛ぶ。

「あなた、何物?」
「人間」

また、何やら考えている。白羽取りされたまま。

「また、会える?」
「さぁな」
「今日は引く」
「良かった」

やっと、帰れる。そう、思った時だった。公園に生えてる木々の間がキランッとひかる。

避ける。弾が一直線に向かってきた。映画でみたことある、麻酔銃の弾だった。

「チッ」と、舌打ちが聞こえると今度は連続で、弾がとんできた。

幽霊のようにゆらゆらかわす。

「ハァッ!?」

驚いたのだろう。音速でとぶ、弾を全て避けたのだから。赤髪も驚いている。

「シャロ。こいつ、なに?」

木々の間から出てきたのは、青髪の少女だった。

というか、赤髪ってシャロっていう名前なのか。

「分からない。だけど、M級との戦闘は見られた」
「やばくね?」
「やばい」

キランッと、二人がこちらを向いた。

というか戦闘してるところを見てたってばれてる。どうしよう

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