《MUMEI》
第九話
「忍くん?」

厄日というのは今日の事だろうな。

「春風さん、どうしたんです?」
「スバルから降りなさい、忍くん」
「春風さん、だから何があったんですか?」
「そのスバルとかいう化け物は地球にいちゃいけないのよ」
「化け物?スバルが?」
「ええ。でも、大丈夫。すぐに倒すから」
「た、倒すってスバルを殺すんですか?」
「ええ」
「今まで何もなかったですよ?」
「そもそも、地球にいること自体が、駄目なの。だからお願い、忍くん。スバルを倒せない」
「な、なら、致し方ない。『スバル』、一緒に蹴散らすぞ」
『了解した』
「蹴散らすぞ?忍くんはその化け物にとって、ヒーローでもしているのかな?」
「ええ。ダークヒーローですがね」
「あなたじゃ勝ち目はないわよ?本気でいくから」
「なら、俺も本気でいこう」
「俺?忍くん。それが、貴方の本性?」
「ああ。いつになったら始めるんだ?、春風さん?」
「今からよ」

瞬間、春風さんが走ってくる。一般人が見たら、消えるような速度で。しかし、俺には見えた。

拳を振り上げてきた、一発で気絶させたいのだろう。少なからずの配慮あった。しかし、その一発を右に避け、腹に一発、ボールを蹴るような感じで蹴る。

もろに入ったようだ。春風さんは結構な距離をとんだ。体をくの字にさせながら。

シャロが動いた。いつの間にか持っていた細剣で、もの凄い速さの突きを放ってくる。避ける。残像を残しながら。

今の俺には全ての動きがスーローモーションに見える。

カウンター。腹に一発、今度は拳をぶちかます。春風さん同様、くの字にさせながらとぶ。春風さんの意識が戻ったのだろう。手をついて、体を起こそうとしているときにシャロの背中が顔面にぶつかる。

「カハッ!?」

切りもみしながら二人仲良く壁にぶつかったのは笑えた。

煙がもうもうと、辺りにまう。煙によって周りが見えない。

『スバル、無事か?』
『ああ』

スバルの一言を聞けて、安堵する。

目をつむる。周りに気を飛ばす。

『気心眼』
気を周りに飛ばすことで潜水艦のソーナーのように探知することができる。また、目をつむることで、探知できる範囲が広くなる。

春風さんとシャロは暗視ゴーグルを着用して、向かってきた。

手を前に突きだし、気をそこに貯める。集めた気を、ボールのように投げる。

『気弾』
気を玉のように貯める事で、前に飛ばすことのできる技。この攻撃があたると、気弾は弾け、小さい爆発を起こす。

見事、シャロに命中し、春風さんにも被弾する。どんどん投げた。

煙が晴れ、そこにいたのはボロボロになった、春風さんとシャロだった。二人とも気絶している。

そのまま、放置するのは可哀想なので、スバルと一緒に忍の地下の隠し部屋に二人を担いで連れていく。

癒しの糸を使い、体を回復し、ベットに寝かせた。

【数分後】
目を覚ました。春風さん。シャロはまだ、気絶している。

春風さんの手足を糸で結ぶ。

「おはようございます、春風さん」
「・・・・・」
「あの〜」
「何?・・・・」
「EHには無事に返すので安心してください」
「・・・・・はぁ」

春風さんは溜め息をつく。

「で、忍くん。君は一体、何者?」
「亜人とでもいえばいいんでしょうかね」
「亜人?」
「まあ、つまり、人間の姿をした化け物ですよ」
「へぇ〜、能力は?」
「教えません。というか、知らないんですか?」
「ええ」
「なるほど。そちらが俺の能力を知らないなら都合がいい。さて、春風さん、帰っていいですよ。丁度、シャロさんも起きましたしたよ」
「はあ。今回は負けたわ。だけど、次は特殊部隊を引き連れて、また、戦いましょう」
「機会があれば」

罠に掛かってある戦闘員を外し、春風さんとシャロと一緒に帰っていった。寝る。眠い。

『おやすみ、スバル』
『おやすみ、忍』

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