《MUMEI》 一国が滅びを迎えた、すべてが灰になり風によって飛ばされてゆく。 家も店も馬車も城も、そして人さえもすべてがすべて灰に変わり飛んでゆく、そんな地獄のような光景の中1人の女が立っていた。 女は灰色の髪をなびかせながら唯1人そこに存在していた、それはとても美しく、儚くそして何より途轍もなく恐ろしい光景だった。 灰の舞い降る光景を女は悲しそうな顔をしながらポツリと言葉をこぼす。 「私は何時になったら終われるのだろうか・・・」 女の言葉に答えるものは誰一人としてそこには居ない。 完全に灰になりつつある国を女は歩く壊れ行く国という名の世界を眺めながら、そこに居たであろう命たちを思いながらゆっくりと歩んでゆく。 そして女は灰の中で1つの命を見つけた、それはとてもまぶしく吹き荒れるような生命の息吹を纏った赤子。 「なッ・・・なぜまだ生きている、私の力が効かぬとでも?」 女は赤子を抱き上げまじまじと見つめる。 赤子は「あぅあー」といいながら女の頬をぺちぺちと叩く。 「いったいお前はなんなんだい?」 女はくすぐったそうにしながらも赤子に尋ねるが「あーぅ」と、しかかえってこなかった。 赤子は降ってくる灰にその短な手を伸ばし掴む、それを見た女は確信する、この赤子には自身の力は効かないのだと。 そして女は希望を抱くこの赤子なら自身を終わりに導いてくれる、この呪われた役目に終止符を打ってくれると。 「お前は、私にとっての希望になるかもしれないな」 女が笑いかけると赤子も嬉しそうに笑った。 「分からないと思うが、私の名前はラグラエル灰塵と終滅を司る龍皇だよろしくなミカエル」 そうしてラグラエルは赤子を抱いたまま灰の中を歩んでゆくのであった。 次へ |
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