《MUMEI》
『駆除作戦』
「何こいつ超キショイ」
「「……激しく同意する」」

宇佐美から視覚情報として提供された小型トリオン兵の画像。

それを確認して三輪と米屋に合流した直後、目の前に実物が現れた。
それを潰して最初に戻る、というわけだ。

「……霧宮の冗談は最終的に冗談じゃなくなったな」
「こういうのがあるから冗談は言いたくないんだよなー」
「それな」

変化弾で周囲の小型トリオン兵__ラッドを一掃する。

「……これ、終わんのかー?」
「終わらせるの」
「りょーかい……疲れそーだなー」

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

翌日の夕方、迅からの全体通信が入った。

『よーし、作戦完了だ』

三輪の顔が曇った。

『みんなよくやってくれた、おつかれさん!』
「……じゃ、私は迅のところに戻る。またね」
「ん、ああ……」

迅のところに戻ると、なぜか頭を撫でられた。

「変化弾での駆除、ありがとな。すげえ助かった」
「……別に。三輪は虫が苦手なの」
「うお、まじか」

迅の声。
ふと、今日は私が夕食当番だと思い出した。

「そんなことより……今日は何が食べたい?」
「えー……お前の作りたいもんでいいよ」
「それが一番困る。もういいよ、三輪に聞くから」

換装を解いて、三輪とやり取りする。

【奏歌:三輪ー】
【秀音:なんだ】
【奏歌:どんな主菜食べたい?】
【秀音:なんでもいい】
【秀音:って言うと怒るんだろ】
【秀音:唐揚げ】
【奏歌:了解】

メッセージのやり取りを終えて、迅の隊服を引っ張る。

「うお、何?」
「つき合って……買い物」
「ん、いいぜ」

迅と手を繋いでスーパーに向かう。
私はもう17歳だっていうのに、迅はこれをやめようとしない。

「……迅、いい加減やめて」
「やーだ」
「なんで」
「……だって、離したら……お前がどこかへいなくなる気がするから」
「何それ」

それでも、スーパーに着くとすっと迅は手を離した。

……あったかい手が離れて、ちょっとだけ寂しい。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫