《MUMEI》
雨時々曇
○月△日 雨時々曇
その日は大雨。

折り畳み傘しかなかったからずぶ濡れで昇降口に着く頃には酷い有り様だった。

「やべーな」

君は呟いて靴を脱いだ。下駄箱の{藍坂京平}の扉を開ければお馴染みのラブレター。

「誰からだよ」

「えーと、2-3 木村綾香?」

中身は、ずっと前から好きだったこと、付き合えないかなどなど。

「どうすんの?」

「断るよ」

くしゃくしゃと丸めてゴミ箱へ。

「いいの?可哀想じゃない?」

君は何故か困った顔した。

「……駿は何もわかってない」

その時には、雨は止んで雲しかない空だった。

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