《MUMEI》
曇時々晴
○月★日 曇時々晴
朝から曇り。

君を迎えに行くと君は高熱を出して倒れていた。

「おいっ!」

「あ…、駿。どうした、の?」

顔が真っ青で額に手を当ててみると通常より熱を感じた。

「これから、学校、行こうと…してたら」

「お前、今日休め。先生に言っておくから」

それじゃ、と呟き立ち上がろうとした。でも、立ち上がれなかった。

「……い、行かないで」

君が僕の腕を掴んでいた。熱あるのに何てパワーなんだ…。

「…しょうがねぇな。看病してやる」

京平には家族が居ない。ここまで上京してきたらしい。だから、寂しくなるのだろう。

「…ありがとう」

君は微笑んだ。


「どうだ、気分悪い?」

「今のとこ大丈夫。悪いな、付き合わせて」

申し訳なさそうに軽く頭を下げた。

「バカか、お前の世話は僕の担当だ」

正直に言うと学校に行きたかった。密かに皆勤賞を狙ってたからだ。

「ふふ、嬉しいけど、お前、皆勤賞狙ってたんじゃなかったの?」

ぎくっ。ば、バレてません?言ったことなかったよな…。

「な、何でわかんだよ」

「やる気なさそうだけど、登校はちゃんとしてたし。それに…」

何故か言葉を濁す。

「それに…?」

「俺は、何時も、見てるから。お前のこと」

凄く真剣な眼差しで見詰めてきた。

一瞬ドキッとした。相手は男だぞ。これは幻想だ。何て思ったけど、やっぱドキドキしてる…。

これって、恋?

晴れた空が現実だと教えてくれた。

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