《MUMEI》
出会ったきっかけ
ここで少し余談をしよう。

京平と初めて会ったのは高校に進学前の2月。試験会場だった。

「あの…」

「何か?」

言い出せないらしい。口をパクパクさせている。

「そ、その…。試験、どうですかねー」

ごまかした。どんだけ引っ込み思案なんだよ、笑

「わかんないけど、受かりたい」

「ですよね。あの…」

よく見たら、ここらでは見かけない制服を着ていた。

「駅、わかんないとか…?」

目を見開いて何度かまばたいて俯いた。

「…うん。ここに上京してくる予定なんだ。だから今日受験しに来た」

なる程。

「じゃあ、一緒に帰ろうか」

「えっ…」

「これからのダチだろ?」

そしたら嬉しそうに僕の手を握って“ありがとう”って言った。

当時から可愛かったのは変わらないが、最近香水フェチになってしまってから毎日コロンやらを体に身に纏う。

そこがアイツらしいがな、笑

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