《MUMEI》 俺に起きた悲劇。「わ、悪い。ここの世界初めてだから…」 「え、世界?」 げっ。兄貴、御免…。 そう言えば世界=禁句だった…。 「“世界”は禁句だ」 「なんでだよ」 最後の屋敷での夕食でのこと。 兄貴は相変わらず料理人のアハズさんの作るシフォンケーキを頬張っている。 「世界って言ったら人間界では暮らしてませーんみたいなことになるじゃん?」 「なるかアホ」 やべぇ、シフォンうまっ。 「なる。本当に」 ……なっちまった。 「そ、その、ここの土地が初めてなだけで…」 「そうなの?びっくりしたぁ」 あ、可愛いと不覚にも思ってしまう俺。 胸がドキドキしてる。なにこれ、病気? やべぇ、心臓えぐりとられそうなくらいいてぇ。 そのまま明日香に向かって倒れた。 「北見君!?北見君!」 何でこんなことになんの? 俺、死ぬの? そのまま意識を失った。 前へ |次へ |
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