《MUMEI》
「…マジなのか?」
「ああ、やっべーぐれえ…、今だってこの場けっとばして会いに行きたくてしゃーねえ…」
久し振りに会う親友よか、今日朝まで一緒にいた…最近知り合ったばっかの男の子に会いたいだなんて…
「はは、全く秀幸は正直だなあ、じゃー今日は早めにお開きにするか」
「ゴメンな、久し振りに会ってんのによ…
でもなーはあ…
アイツ…めちゃめちゃ可愛いんだよ、何か…、ずっと抱っこしてたいっつうか…傍に居てやりてーっつうか…、
こんなにのめったの久し振りだよ…もうヤベーって、はあー…」
俺がそこまで言うと、佐伯は俺の肩をポンポンと叩いた。
「そこまで想ってんじゃー応援するよ、
…なあ、大切にしてやれよ…、
結構…苦労してる子だからさ…」
――俺は佐伯を見る。
両手を組み、そこに顎を乗せながら物思いにふけ、遠くを見つめている。
俺と同い年の割りに20代にしか見えない、
整った顔をしていて…。
昔から女にめちゃめちゃモテるのに、ずっと…一人の男と付き合っている。
もう…、10年じゃ…きかねーんじゃねーか…。
まさか…あの人が裕斗の…親父だなんて…。
「俺が言う事じゃないけど…裕斗君の事…
幸せにしてやって欲しい。
あの子の…、いや、
あの人の家庭めちゃくちゃにした俺が…、
言えた義理じゃないんだけど…」
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