《MUMEI》

カキンッ_カキンッ_

薄暗い意識の中、その音だけが嫌に響いた

気になって思い瞼を開く

目の前には紅い炎の前で必死に何かを叩く男子が一人

私には気づく事なくひたすらに何かを叩いている背中を見つめていればまるでこの場に私一人しか居ない様な感覚になり不安になっていく

視界が潤んでくる

しかし、ふと視線を感じて辺りを見渡す

そして視界に入ったのは一振の刀

確かに、その刀から視線を感じるのだ

少しずつ、ぎこちない動きでその刀に近づく

鋭くも美しいその刀

そっと優しく撫でる

するとさっきまでの不安がすっと消えていく

思わず顔が緩んでしまう

暫くすると先程の男子がこちらに近づいてくる

ふと、男子の手に乗せられた物に視線を飛ばす

そこには今撫でていた刀と負けず劣らずな美しい刀が乗っていた

それをみた瞬間、身体中がぶわっと熱くなる

ドッ_ドッ_と聞こえてくる位、身体が沸騰している

あれは、きっと、"私自身"

そしてその刀を置くと男子は言った

"やっと、出来た…三日月宗近の対。お前の名は、水無月宗近"

その刹那、私は心地よい何かに包まれた

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