《MUMEI》

「ひさしいですね!みなづき!」

「カッカッカッ!まさかお主が来るとはなぁ!」

「今剣、岩融、お久しぶりです。お元気そうでなによりです」

「君が来てくれてよかったよ。三日月ってば、ここに来てから水無月は居ないのかって煩かったんだよ」

にこやかにそう伝えてくるのは石切丸

「石切丸、余計な事を言うでない」

そう咎めるも表情は優しいままの三日月

「この小狐丸をお忘れでは?」

「ふふっそんな事ありませんよ。久しぶりですね、小狐丸。相変わらず綺麗な毛並み」

「水無月殿も随分とお綺麗になられましたな」

優しい瞳の中にギラリとした瞳が隠れているのに水無月は気づいていない

代わりに、、

「人の妻に手を出すでないぞ、小狐丸」

「はて、何のことやら」

「水無月ー!是非、他の子とも話してあげて!皆うずうずしちゃってるー」

その言葉を聞いた他の刀達はちょっと!と恥ずかしくて言って止める者もいた

その様子を見て水無月はまた優しく「はい。是非」と答えた



「燭台切様、お隣宜しいですか?」

「勿論!」

「なんだみっちゃん、随分嬉しそうだな?」

ニヤニヤしながら聞いてくるのは太鼓鐘貞光

「そっそんな事ないよ!?」

「…焦りすぎだ」

「伽羅ちゃんまで!」

「ふふっ仲良しですね。御三方は政宗公の…?」

「そうだよ。あと鶴さんもだよ」

「あぁ、そういえば鶴を見掛けませんね…」

キョロキョロと探す水無月の背後には怪しい影が

「わっ!」

「っ!」

ビクリと肩を跳ねさせるけど声は出ない水無月を見て驚かせた張本人は楽しそうに笑う

「ははは!君は昔から変わらないな!」

「全く…貴方には驚かされてばかりですね、鶴」

「君を驚かすのは楽しいからな!」

「もう…おや、この子は?」

すりすりと寄ってきた1匹の虎を抱き抱えて水無月は問う

「す、すいませんっ…その、僕の…虎さんです…」

あわあわと慌てるふわふわした男子は確か…

「五虎退、ですね?」

「はっはい!…あれ?何で僕の名前…」

「ふふっ三日月から聞いておりますよ。5匹の虎と仲が良いと」

優しく頭を撫でてやるとそれに釣られたかのように他の栗田口の短刀達も寄ってくる

「全く…君は子供に好かれやすいなぁ」

その鶴丸の言葉に他の刀剣達は静かに頷いた

「五虎退だけずるいー!あっ!僕の名前は包丁藤四郎だよ!人妻だーいすき!あ、水無月さんも人妻だよね?ふふふ!」

そう言ってちゃっかり水無月の膝の上に座る包丁

それに続く様に皆が自己紹介していく

「ふふっ愛いなぁ」

ほんわかとした雰囲気に水無月は癒されているらしい

そして、

「弟達がすいません…」

「ふふっ構いませんよ。一期、久しぶりですね」

隣に座る一期の頭を優しく撫でる

普段から弟の世話ばかりで甘やかされるのに不慣れな一期一振は顔を赤くする

それを見ていた三日月、小狐丸は"羨ましい"と嘆いていた。

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