《MUMEI》

不意に流れる無機質な音楽、友人の携帯電話だった。

「電話鳴ってるぞ」

「うん」

ぱか、と開いてそのまま耳へ。

「もしもしー?わぁ、まだかけてきちゃダメだって!」

ややハイテンションな声、誰と話してんだ?

「ちゅーしてくれなかったよー。よかったね。・・・・・・え?うん、俺はイケると思ったんだけどね〜」

・・・・何ですと?

笑顔のまま携帯をわたされる、何もわからず受け取ると、聞こえてきたのは聞きなれた恋人の声。

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