《MUMEI》

それからは各部署を見回り、今はクリスとノアが行きつけだというバーに来ていた。

「それで、何で今日は遅刻したんだ?」

「あー…酒を少しな」

「女か」「女だな」

「なっ」

「喧嘩でもして振られたんだろ」

「…何で分かるんだ…」

「経験の差だな」

「はぁ…」

「おいおい、そんなに落ち込むなよ」

「お前みたいなイケメンでも振られる事あるんだな」

「ノア、お前が言えないだろ…」

「?」

この男、基ノアは自分の容姿の良さを自覚してない分、無自覚に男女を誑かすため、振られる事が多い。

そんな彼を何時もそばに居るクリスはやれやれと思いながら見ている。

現に、ノアと話したそうにチラチラと見ている男がいる

だがクリス達が居るため話しかけられないんだろう。

「可哀想になぁ…」

そういってニヤリと顔を歪め、ボソリと呟いたクリスの言葉は誰の耳にも入らなかった

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