《MUMEI》
【隼大】魔王様とティータイム
かちゃり、微かな音とともに華奢なティーカップが置かれる。

「ん……やっぱり、旨いな」
「当然だよ、だってこの僕が直々に淹れた紅茶だもの」

霜月の柔らかな視線にドキッとして頬を赤らめる黒月。

「ふふ、まだ慣れないのかい?大はかわいいねぇ」
「あのな、かわいいってのは30代半ばのおっさんに言う言葉じゃないからな?」

そう言ってひとつため息を落とす黒月の顎を持ち上げて、霜月はそっとその唇を奪った。

「ん……ふ、やっぱり大の唇は甘くて美味しいねえ。ちょっとかさついてるところも愛おしいよ」

妖しい笑みを浮かべた唇が離れていく。

「……急にキスするのはやめろ」
「えー?大だって嫌じゃないくせに」
「は、恥ずかしいんだよ……言わせんな」

黒月はぺしっと霜月の頭を叩く。

「お、怒った」
「怒ってない」

そんな軽い応酬を何度か繰り返しているうちに、黒月の息が乱れ始める。

「おやおや、大丈夫かい?顔が真っ赤だよ」
「……っ、隼、お前……」

言いかけたところで、霜月は黒月の両手をネクタイで拘束した。

「いつもより甘いと思わなかった?ちなみに、魔王様特製のこの媚薬……」

霜月の指が突然黒月の口に突っ込まれて、舌を弄びはじめる。

「薬が触れた場所全部に効果を及ぼすようにしてみたんだ。だから、食道とか胃にも効果が出ちゃうと思うよ」

くちゅくちゅという水音が立つ。
体の中が熱くなって、甘い吐息が喉を駆け上がる。その瞬間。

「〜〜〜〜〜ッッ!!」

喉の奥の方で、快感が弾けた。

目を見開いてびくびくと痙攣する黒月に、霜月は甘く微笑みかける。

「だぁい、言ったよね?薬の触れた場所全部が性感帯になるって」

喉も例外じゃないんだよ、そう囁いて喉仏にキスした霜月。

嫌な予感がする、と黒月は震えながら思うのだった。

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