《MUMEI》
リハーサルから裸
収録はスタジオ内の学校の教室のセットを使って行われた。
机は全て外に出し、椅子は円く並べられた。
あとは黒板さえ映さなければ、ここは地域サークルの絵画教室ということになるのだ。

ただし、セットとして組まれたモデル台が異常に高い。教壇の上の教卓ぐらいの高さになっていた。
踏み台がわりの椅子が必要だった。

リハーサルは簡単だった。
主役のKとS以外の出演者達はどこかの劇団員だろう。バラバラの格好で参加し、動き出すタイミングやカメラとの位置関係を確認していた。

私だけが本番通りだった。裸にガウンを羽織って部屋に入り、講師役のKのセリフのあと、モデル台に登ってガウンを脱ぎ、置かれた椅子に座った。
私の動作はこれだけ。当然のようにセリフはないし、椅子のうえでオチまで全く動かなくていいのだ。
つまり、いつもの仕事と何も変わらない。リハーサルをする必要がないくらいだった。
ちなみに、私は男女の受講生たちにお尻を向けて座っていた。



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