《MUMEI》 乳房2──それと、ここも。 そう言って、私はTシャツを脱いだ。 ごく自然に、流れのままに。 桟敷には他の客もいるなかで、私は上半身を露わにした。 ほんの数秒、彼に上半身をさらしたあとで、背中を指さした。 冷静な医者のように彼は観察し、軽くうなずいた。 私も不思議な満足感を得て、Tシャツを着た。 内科健診でブラジャーを外させていた時代錯誤な中学以来、家族以外の異性に乳房を見せたのはこれが初めてだった。 後悔はなかった。 ほんとうに、満足感だけだった。 ミナコが、よくやった、と目でほめてくれた。 ▼ それから私はビキニスタイルに戻り、なにごともなかったかのように遊びに復帰した。 そろそろ帰ろうかという誰ともなく言い出したのは4時くらいだったろうか。 帰りのバス停では偶然さっきの彼の隣になったが、何も話さなかった。 ──あの場では、ああするのが自然だった。 このときも、私は後悔しなかった。 ▼ 女子高生だった私の、これだけのお話。 つまらなかったら、ごめんなさい。 ────────── 前へ |
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