《MUMEI》 プロローグ 初体験は義母と蒸し暑い夜だった.... 開け放した窓辺のベッドの上で龍雄は、吹き込んでくる生ぬるい風に裸の上半身をなぶるがままに委ねていた。 窓を閉めてシャツを羽織り、冷房の風を暗い部屋の隅々に充満させれば、きっと快適な環境で眠る事が出来るだろう。 そう思う心が、頭の隅をよぎらぬでは無い。 しかし、そうしたくは無い。 窓を閉めればいやがおうに閉ざされた家の中に響いてくる、あの妖しい物音を聞かされる事になるだろうから。 父が定期的に家を留守にする期間から戻って来ると、一週間ほどの間、夜は義母と父の間での激しい睦言が漏れ聞こえ、龍雄を 悩ましくさせるのは毎度の事であり、父の職業を幼い頃から見聞していた龍雄にとってはすでに慣れている事柄の筈であった。 次へ |
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