《MUMEI》

それは天文学的数字の確率でありえなかった。何故ならこのドアを開ける為には電子ロックを解除しなければならないからだ。

安原に気を取られている間に真奈は別なところに行ったというのだろうか。しかし、俺は真奈が階段を下りて行くところを見た。こっちに進んだはずなんだ。

俺はこのドアの開け方を知っていた。前に掃除当番でここに来た時に、どこかの業者の人がここのドアを開けるのを盗み見ていたからだ。

このドアを開く為の4桁の暗証番号は記憶してある。

その番号を打ち込む。

ガチャっと鍵が開く音がした。

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