《MUMEI》
砂糖の様なカップル。
自分のクラスに着く約一分前、私はカップルに先をこされてしまった。

「えぇー。たっちゃんはどっちが可愛いと思う?」
「俺は氷那(ヒナ)の選ぶもの全てが大好きだよ!」

そんな声が聞こえてくる。
思わず吐きそうになった。

私はこういう甘い砂糖の様なカップルが大嫌いだ。

そのカップルから目をそらすように自分のクラスを見ると、隣のクラスの人であろう男子が走って自分のクラスに戻っていた。

ただ呆然とその光景を見ていた私だったが、あることに気付いた。

走って自分のクラスに戻って行った男子は、青いノートを持っていたのだ。

びっくりした。

なぜなら私は、そのノートを知っていたのだ。

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