《MUMEI》

昼休みになって、僕は起きた。
普通は先生に即バレるが、僕は平気みたいだ。

その理由もなんとなく分かってしまう。

「緋駿(ヒトシ)!購買行こーぜー!」

そんな声が聞こえた。
後ろを振り向くと同時に肩に鈍い衝撃が走った。

「痛っっっ!」
「どしたー?」
「どしたー?じゃねーだろ、匠來兎(タクト)」

どうやら鈍い痛みの犯人はコイツだった。

「お前、野球やってんだから痛いんだよ。手加減しろよな。」

匠來兎は高校になって一番最初にできた友達だった。

それは匠來兎も同じだったようで____

「そんなこと言うなよぉ。俺、緋駿がいなくなったら生きていけないよぉ。いなくならないでぇ。」

そう言って僕の腕にしがみつく。

_____と、こんなふうに懐かれている。

別に迷惑ではない。
逆に嬉しい。

僕はずっと愛されなかったから。
こんなふうにされるのが夢だったんだ。

「目指すはあげパン!レッツゴー!」

そう言って匠來兎は僕の腕を掴み、購買へと向かって
行った。

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