《MUMEI》
忘れている
泣いていた。
あの石川は泣いていた。

僕は石川の涙を、初めて見た。

ここは、夢なのか?
夢だとしたら、なぜ石川は死んだ?

竹井だって、水園だって。

なんで、僕たちをねらうんだ?

ズキッ

「あぁっ、ああぁぁっ!」

頭に激しい痛みが走った。
僕は何かを忘れている。

でも、それは一体なんだ?

そんな時に、視線を感じた。
冷たくて、悲しい、そんな視線だった。

思わず振り向いた。
奴は、僕の数cm近くにいた。

しかし奴は僕を捕まえようとはしない。

ただ、悲しそうに僕を見つめているだけだった。
そして奴は、微笑んだ。

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