《MUMEI》
分からない
『ねぇ。』

奴は手を伸ばした。
しかし、僕のことを捕まえる気はないようで、すぐに止まった。

『君は、どうしてここにいるの?なんで、君が居るの?』

奴は訳が分からないことを繰り返した。

『どうして?君はここに居て良いの?』

そんな言葉を繰り返しているうちに、またもや頭に激痛が走った。

「知らないっ!あぁっ!痛いっ!痛いぃぃっ!」

なんで、僕はここに居るの?
なんで、みんな死ぬの?
僕は、何を忘れているの?

『君は僕で、僕は君なんだ。』

そう言った奴の目は優しくて、初めて見た時の顔とは全く違った。

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