《MUMEI》
目的
『歌奏はなんでこの病院に来たの?』

病院に来てから30分後。
お互いに好きな食べ物や嫌いなことを話していた途中。

僕はこの一言で本来の目的を思い出した。

「あ!ばぁちゃんのお見舞い行かなきゃ!!」

『じゃあ。またね。』

そう言って桃は微笑む。
その瞬間。

心のなかが、キュっと絞まった。

「ま、また明日これる??」

『うん。ここに来るよ。』

初めて女の子を誘った。

『明日、ずっと待ってるね。』

ギュォンッ!

初めて女の子を可愛いと思った。

「ばいばい。」

僕は内心離れたくないと思った。
どうしても隣に居てほしかった。

しかしばぁちゃんのお見舞いが優先だ。

くそ…母さんめ…。
僕はもやもやしながらも走り出した。

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