《MUMEI》

俺は…夢中で走る。

そこで待ってろって言われたのに…


かえってすれ違って
会えなくなるかも知れないのに、


とにかくじっとしていられなかった。





ピ――――――ッッ…







突然、握りしめる携帯が、





切れた音がした。






俺の携帯は、伊藤さんのマンションで充電が切れていた。


朝マネージャーに無理を言って自宅に回って貰って、
急いでシャワーを浴びた間だけ充電しただけの…携帯。

勿体無くて…
伊藤さんからのメールに備えて…

電源を入れたり消したりしていた……。









俺は駅に辿りつく。



―――一端立ち止まり呼吸を整える。

電車で来るのかタクシーなのか分かんないのに……








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