《MUMEI》

「んっ…!んふぅっ…」

『ねぇー。先生。可愛いよォ。』

なんなんだ。
突然男を押し倒したりして。

倉憂は突然の出来事に戸惑う。

もしかして、本当に赤城 力亜(あかぎ りあ)はゲイだったのか?

そうじゃないと男をベッドに押し倒してネクタイで目を隠すなんて出来っこない。

「やめ、やめろぅ…。」

『やーだ♪』

「お前、本当にこんなこと、していいと思うのか?」

『こんなことってどんなことー?』

力亜は自慢のバカ力で倉憂の手首を掴む。

『うーん。やっぱ拘束具持って来れば良かったなァ。』

自分の失態に呆れる。
だって、こーんな可愛い倉憂先生をこれじゃぁ襲えないんだもの。

『先生。この続きはさ、明日しよォ。』

「はぁっ!?バカなのか!?こんなことされて明日お前にノコノコと着いていくようなアホじゃないんだわ。」

『宮原 夢依(みやはら ゆい)先生の写真あげるよォ。』

「な、なに!?ばか野郎。何もしないと約束するならば行ってやろう。」

そう。
先生は宮原先生のことが好きなのだ。

でもそれは、先生のことを好きな僕には辛いこと。
だから。
明日は少し先生を釣ってみようと思う。

『じゃ、先生。また明日ねッ!』

僕は先生の手首を放し、ネクタイをとる前にキスをした。

「んっ…!」
「な、なにっ!ばか野郎!!!止めろ!」

先生は多少暴れていたが顔が少し赤かった。

そして僕は先生を残して家に帰った。

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