《MUMEI》

『あ、あのね。真浬可、お友達と遊んでたら迷子になっちゃって…』

君は自分が迷子になったんだと話した。

今だったらきっとすぐに一緒に探しにいくが、当時7才の僕はそんなこと考えもしなかった。

「今一人なの?」

『え?』
『あ、うん。』

その時僕は内心よっしゃ!と思っていただろう。

「なら、一緒に遊ぼ!!!」

僕のそんな突拍子な発言に、普通なら断るが、君は違った。

『うん!』

そう言って僕の手を取る。
その瞬間、僕は手をふりほどいた。

『えっ…』

恥ずかしかったんだ。
とっても可愛い君の手を握るなんて。

でも、君はうつむいた。

「ご、ごめん。」

僕はやっと自分の過ちに気付いたが、もう手遅れだった。

『うわぁぁぁぁぁぁぁん』

君は、盛大に泣き叫んだ。

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