《MUMEI》 と、まぁ僕達はボーっと、ただ景色を眺めることになった。 しかも、手を握って。 日が傾き始めた頃、僕は帰ることにした。 でも、君はまだお母さんが見つかっていない。 どうすればいいんだろうか。 そう、悩んでいる頃だった。 『真浬可!!』 『お母さん……?』 君のお母さんらしき人が慌てて駆けつけてきた。 そして、僕の事を凝視した。 『…?あ。真浬可のお友達ですか?』 「うん。」 『真浬可の事、ありがとう。』 君のお母さんは、やっぱり君に似ている顔で微笑んだ。 でも、君はとても暗い顔をしていた。 『ほら。真浬可もお礼を言いなさい。』 『あ……とぅ…』 『聞こえないわよ!ちゃんと言いなさい!!!』 君のお母さんは急に顔を怖くして、君を怒鳴り始めたんだ。 それも、当たり前のように。 『うぅ……。ありがとぅ…』 やっぱり君は泣き出しちゃって、そんな君の手をお母さんが無理矢理引っ張ったんだ。 僕はやっぱり堪えきれなくて、君の手を掴んだ。 「また、明日。」 そう言わないと、もうきっと君に会えないと思ったんだ。 今日で、最後にならないように。 そしたら、君は涙でいっぱいの目を細めて、太陽以上に明るい顔で微笑んだ。 『うん!』 僕はまた、君の事を好きになる。 前へ |次へ |
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