《MUMEI》
伊藤さんはたしなめる様俺の頭を撫でる。
俺は…、手をどうしても離せなくて、
泣き顔を他人に見られたくなくて、
ひたすらうつ向くだけ……。
ざわめく周囲の音。
駅特有のメロディ。
そんな音よりも、僅かに聴こえる伊藤さんの呼吸と、
俺の心臓の音が…
激しく胸に響く。
すると、ふいに肩を抱かれ、引き寄せられた。
「キス…しようか」
小さな声でそう言われ…
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