《MUMEI》

そんなこんなでまた翌日。

隣の席の子は居なかった。
どうやら休みのようだ。

なんで休みなのか気になった私は、先生に聞いてみることにした。

「先生。なんで高橋(たかはし)君は休みなんですか?」

『それが…。』
『高橋君、倒れたらしいのよ……。』

昨日、急にだったらしいわよ。
なんて先生に言われても、あまり実感が湧かなかった。

もしかしたら、昨日の告白のせいかもしれない。

なんて思った私は、先生にプリントを届ける、という理由で高橋君の住所を聞いた。

ここか……。

行ってみたはいいものの、こりゃ凄い。
家がデカいんじゃ。

家のデカさに驚きつつも、インターホンを押した。

【ピーンポーン】

『うぅ…はい。』

その声は、紛れもなく高橋君の声だった。
少し安心した。

だってさ、もし違う人だったらって考えると怖くね。

『あぇっ!』

「??ど、どうしたの???!」

『葉菜(はな)ちゃん……。』
『葉菜ちゃんだっ!なんで!?どうして!??』

なんだ…。
そんな事か。

「いや、プリント渡しに来たんだけど…」

『うん!!!もらう!ちょっとまって!』

テンションがたけぇなぁ。
さすが隠れ陽キャ。

なんて思っていると、急にドアが空いた。

『おはよ!葉菜ちゃん!』

でっけぇドアから顔を覗かせたのは、オシャンな服を着た高橋君だった。

「おはよって、今夕方だぞ………」

『いいのいいの!そんなことは!』

良くないよ、なんて思いつつも高橋君に誘われて家の中に入る。

「おわぁ」

高橋君の家は綺麗に片付いていて、お母さんが綺麗好きなんだなぁと思い知らされる。

くるくるとなっている階段を上ると、ドアが三つあった。

「これ、なんの部屋?」

『えっとね、右のやつがお姉ちゃんの部屋で、真ん中が僕。左が弟。』

「へぇ。兄弟いるんだねぇ。」

よく意外って言われるんだぁ
と笑う高橋君。

その笑みに、思わずつられてしまう。

『あ、入っていいよ。』

高橋君に言われて開けたドアから見えた景色。
それは、まるで雲の上にいるようで………。

「綺麗すぎるっっっ!!!」

そんな言葉が出てしまった。

高橋君の部屋は白色、灰色、黒色と、統一されていた。

『ふふ。ありがとぅ。あ、麦茶とってくるね。』

高橋君はララランと歌いながら下に降りていった。
私は、高橋君の部屋を眺める事にした。

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