《MUMEI》

『叶奏(かなた)くぅ〜ん!』
『キャーーー♪』
『やだぁ。やっぱイケメン〜』
『てかぁ。【かなた】って名前だけでイケメンを感じるぅっ!』
『それな!叶奏くん最高!』

はー…
正直うざいっす。

心の中で、そう呟いた。

なんで、俺の名前だけでイケメンが分かるんだよ。
世の中の叶奏さんは全員イケメンなのかよ。

そんな疑問も浮かんだ。

しかし、そんな疑問は置いといて。
まずは、こちらを対処しなくては。

俺は、今朝筆記用具に入っていた一枚の小さな紙を広げた。
そこには、今朝も見たように整っていてまるっこい字でこう書かれていた。

【叶奏君へ
  今日、昼休みに屋上に来てください。
 あ、お昼ご飯は持ってきてもいいよ。
           M,U より。】

M,U。
誰だよ。

ハハッ…。
俺がチラリと女どもを見た時だった。

『おっ!何それっっ!!』

一瞬にして、手紙は俺の唯一の友達、長谷川 宇宙(はせがわ そら)の手に渡った。

『うわっ!こいつラブレターもらってるぅっ!』

「うっせ。」

あと、これラブレターじゃねーしな。
[好きです]なんて一言も書かれてねーじゃん。

「お前、返せよ…」

宇宙。
そういえばこいつ、初めてあったとき俺の苗字を【シンノゾ】って読んでたよな。

本当は神望(しんの)だけど。

宇宙は面白そうに俺を見た。

「お・ま・え・な!」

『ひひっ!モテモテだな!』

「あ”?」

『ひン!』

俺は宇宙から手紙を無理矢理奪い取った。

『で、』

宇宙は、お決まりの台詞を言うみたいに、キリッと俺を見つめた。

『答えは…?』

その言葉で、俺は固まった。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫