《MUMEI》
過去
『お前、気持ちわりぃンだよ!』

『ギャハハハッ!!』

最悪だ。
二度目もか。

僕はこの学校で、最悪といっていいほどのいじめを受けている。

理由なんて、知ったこっちゃない。

前の、学校だって。
こんな奴らに蹴られたり、殴られたり。

酷いときには、カッターを向けられた。

転校したのに。
親に勇気を出して相談したのに。

それなのに、まだ僕は報われないのか。

もう、嫌だよ…。

「ごめッ……なさッ…」

こうやって謝るのも。

『じゃ、ほれ。金だせ。』

こうやって、お金を渡してしまう自分も。

殴られて
蹴られて
殴られて
蹴られて。

もう、いっそのこと死んでしまえば………。
少しは、楽になれるのかな…?

『優助〜〜!ちょっと来なさい。』

唐突に親から呼ばれた。

「うん。今いく。」

全然のりきじゃないのに。
めんどくさいなぁ…。

親に進められて、イスに座った。

『あのな。優助。』

父親はイスを引きながら喋り出した。

『なにか、学校で嫌なことあったわよね…?』

『なんで父さんたちに言わないんだ?』

『何か理由があるのは分かるけど、言ってくれないと気づけないじゃない。』

嘘だ。

気づけないじゃないじゃなくて、気づこうとしないだけだろ。

そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
でも、それを口に出すことはなかった。

「うん……。」

『あのね。優助。』
『もう一度引っ越しをしようと思ってるの。』

『それでいいよな?』

【うん】とも【いや】とも言えなくて、黙っていた。
母親はそれが精一杯の返事だと勘違いしたのだろう。

『じゃぁ。近い内に決めておくわね…』

僕は、すぐに部屋に戻って眠る。
眠る。
眠る。

その日、僕が見た夢で一番印象に残ったのは、【地球が綺麗だった】ただそれだけだろう。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫