《MUMEI》

「でも検査入院で今日退院だし・・・・・・」

「うるっさいわね!!!」

「だまらっしゃい!!!」

「・・・・・・はい」

秋葉と紘の鋭い眼つきと剣幕に押されるしかない歩雪は思わず敬語で返事をする。

「だぁ〜!!!何でそんな大事なこと言わねぇかな!!あいつは!!」

「ホントよ!!あの子あたし達を何だと思ってるのかしら!!」

「でも、検査入院っつーことは異常ないんだよな!?」

「当たり前じゃない!!ねぇ歩雪!?」

「ん。それは心配ない。元気そうだったし」

歩雪は学校へ行きたがっていた今宵の姿を思い出し答える。

この答えを聞いて、そっか、と2人は安心したように納得した。

が、突然秋葉が再び歩雪を鋭く睨みつける。

「もしかしなくてもあんた、雪村が入院してる時会いに行ったわけ?あたし達にも連絡せずに」

「・・・・・・あ」

しまった、と思っても後の祭り。

歩雪は自分で墓穴をほったことに気がついた。

「あ、じゃねぇよ!!!お前も今宵と同じじゃねぇか!!グルか!?グルだったんだな!!」

「あんたも知ってたんなら連絡ぐらい寄越しなさいよ!!そしたら会いに行けたのに!!」

「いや・・・あ、うん・・・・・・。ごめんなさい」

歩雪の言葉に秋葉と紘は、当たり前、とそっぽを向いている。

だからこいつらには敵わないって言ったのに、と歩雪はため息をつきながら呟いた。

ホント、早く戻ってきてよ、こー。

こいつらこーがいないと手におえないし。

紘も歩雪も思うことは同じであったようだ。

どちらもお互いのことは気がついていないが。

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