《MUMEI》

 これはきっと過去の私を慰める為の手段でしかない──
「ん゙ぅ──!!」
私を虐めてきた同級生、私を助けてくれなかった大人達──そのどれでも無い貴方。彼奴等が現在見付けられなかったからと、傍観者でしかなかった貴方を今から拷問する私をどうか許して欲しい……そう内心思いながら私は貴方に近づいてこう囁いた。
「助けを求めたくても、口枷で人語喋れないの最高に惨めね」
「ん゙ぉ──お゛ぅ!?」
目も革ベルト付のアイマスクで隠しているから、彼は見えないなりにそう鳴きながらどこから声がしたのか首を左右に向ける──
「ほら……こっちよ、こっち」
「ん゙ぅ〜っ! ん゙ごおぉおう!?」
私の声がする方から逃げようとする貴方。でもアイマスクで見えないでしょうけど、貴方が逃げた先は──
「ん゙う゛ぅううぅう!??//」
媚薬をたっぷり染み込ませた足つぼマットよ。しかもレッドカーペット並みに幅も広くて長いやつ。
「ん゙──っ//ん゙う゛ぅ──っ///」
「あ、転けた」
「んん゙──!!!///////」

 何が起きているのかわからない──俺はどうやら捕まってしまったらしい。
「ん゙ぅ──!!」
口には枷が付けられ、喋ることが出来ない。目も見えないが、どうやら失明した訳ではなさそうだ。一度逃げようとしたが、見えない上に足がじわじわ熱く指の間が痛痒く感じ──上手く歩けずその場に転けてしまった!
「んん゙──!!!///////」



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