《MUMEI》 突然の事であり、この国では日常の事だが──しかしまさか俺が奴隷として売られ買われた先で人体実験される羽目になるとは思いもしなかった。 「薬を打ってから特に変わった事はありませんか?」 それと同時に、性的な意味で悪い噂が絶えないこの国で至極全うに奴隷に治験してる奴なんてこいつだけだろうとも思う。 「あぁ、お陰さまで特にヤバい副作用とかは出てないよ、強いて上げるなら肩こりとかも治ったし買われた当初ぼろぼろだった肌も今は艶々になった事くらいだ」 「それは何よりです」 俺の主人であるマッドサイエンティストの彼。とても優しい彼に俺は安堵しつつも──そんな毎日の生活にマンネリを感じてしまっていた。 俺は『他の薬は治験しないのか?』と彼に聞いた。 「してほしいんですか?」 そう彼は今までとは違う冷たい表情をして俺の首筋に軽く爪を立てて脅す。 「い……嫌だなぁ、別にそんなんじゃないって! 只──噂だともっと際どい実験の話聞いてたから、ソレされたら怖いなぁって! それだけだよ!!」 俺はそんな彼の反応を恐れて慌てつつも弁明した。 |
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