《MUMEI》

「ん…」

起きると、ベッドの上で一人でいることに気付いた。

「笑也(しょうや)…?」

呼んでも、返事はない。

ベッドから降りて彼を探しに行く

「笑…、笑…?」

キッチンにも、ソファにも、いない。

だんだん涙目になってきて、胸が苦しくなってきて、か細い声で彼を探す

「笑…!?」


バスルームのドアを開けると、シャワーを浴びる彼を見つけた。


「何?」

振り返ることなく笑也は言った。


姿を見つけてほっとしたあたしは、一枚しか来ていなかった笑也のTシャツに手をかけて

「あたしも入る」とそれを脱ごうとした。


「くるな」


「え……」


「もう出るから、向こうに行ってろ」


「……」


ベッドの下に、綺麗に畳まれた、会うために選んだ衣類があった


「っ…」


もう涙で何も見えない


苦しくて苦しくて、あたしは荷物を纏めて部屋を飛び出した。





笑也は、あたしに冷たい


もうずっと、彼の笑顔を見ていないよ…

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