《MUMEI》

かすみの家
かすみは息子たちをあやしながらエリカに描いてもらった絵を見ていた。
スケッチブックをもらったのだ。あとはキャンバスに描いていくだけだった。
「ただいま」
夫が帰宅した。
「おお それがかすみの絵?」
かすみからスケッチブックを貰うとパラパラとながめた。
「全部ヌードかあ 綺麗に描かれてるなあ」
夫は一度見るとさっとかすみに返した。
「凄いじゃないか モデルが良いのかな」
「エリカちゃんが上手いのよ」

エリカは動物園のチケットを送って来ていた。
モデルの御礼だという。
「今度の日曜日みんなで行こうね」
「ヤッター」
子ども達は歓声をあげた。


やがてエリカの絵は完成した
そこに描かれたかすみは

弱く純粋で淫らで娼婦の様に男を求める女性だった

夜な夜な相手を捜してさまよう女性 快楽に溺れあざとくはしたない姿

「これが私」

かすみはショックを受けながらもその絵を眺めた

「かすみサンの一面を出せたかな」
満足そうに言った

「私ってこんなに淫乱でビッチ?」

「隠してるだけ」

かすみは納得できない感じだった

「この絵 展覧会で一番いい所に飾るね」
「はあ」


3ヶ月後に行われた個展は大盛況だった
かすみの知り合いのギャラリーで行われた。


かすみの全てが描かれていた
セクシーなかすみ 娼婦の様に男を誘うかすみ快楽に溺れるかすみ

会社でもその話題に持ち切りだ

社員達は描かれた かすみの尻や胸を論評し描かれたかすみに

「かすみサンてセクシー」

「まるで娼婦の様な所も有るんだな」

「そう言えば前は固い感じもしたけど最近は緩い感じも有るな ちょっと軽いというか」

「今度誘ってみようかなあ 俺狙ってたんだよね」


かすみはセクハラまがいの話題も振られたが

笑顔でかわした

「かすみさんこれ」

入社一年目の赤星が資料をもって来た

かすみは資料をチェックする

「ありがとうございます」

赤星は小柄の男性社員だ

きびきび動く かすみに話しかけられると顔を赤くして出て行った


「なんか赤星君かすみさんのヌード描きたいみたい」

お昼休み エリカが言う

「ええ」

赤星だけでなくエリカの社内絵画サークルは入会希望が凄いらしい

「私のヌードをそんなに描きた

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