《MUMEI》

ゆっくりと、起こさないように彼の腕の呪縛から逃げ、荷物を纏めた。


起きたらいつも飲んでいるコーヒーを準備して


すぐにシャワーを浴びれるようにタオル等を準備して



「…」

コト…、


唯一、彼に誕生日プレゼントでもらったイヤリングを、テーブルの上に置いた


ピアスをしないあたしに、これなら、とくれた、誕生日石のサファイアがついたイヤリング。


もらった日から、肌身離さずつけていた


はずすときは、笑也に捨てられる日。


そう、思っていた




彼の寝顔を、最後に見つめたくて、寝室に入る


珍しく起きない彼の、初めて見る寝顔。


最初で最後、彼を見るのは…



「……ありがとう」


静かに、部屋を後にした

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