《MUMEI》

「…」

「…」

「…」



うぅー……怖いよー……

さっきから、ずーっと睨み合ってる太一と笑也。


「…で?」

「え!?」

「町から出ることはやめたわけ?」

「あ…うん。」

「当たり前だ」

「!!

ったくよー、あんだけ騒いどいて、結局元サヤかよ」
「元サヤも何も、俺とかなは別れていない」

「!!
もう笑也は黙ってろよ!!俺はかなに話があるんだ!!」

「うるさい。お前かなにベタベタしすぎ。うざい」

「カァーッッチーーン!!!!もう本気で怒った!!あのなぁ!?俺とかなは切っても切れない腐れ縁なの!!お前なんか屁でもねーんだよ!!!」

「かなが好きなのは俺だ。お前じゃない」

「かなのこと全部知ってんの俺なんだからな!!」

「俺だ」

「いーや!俺だ!!」

「俺だ!」


いつも冷静な笑也が…

むきになってる…

太一となんら変わんない…


「ふふっ」

「「!!」」

あ、やばい


「何笑ってんだよかな!!お前のことなんだぞ!?」
「……」




そのあとも、延々と言い合いをする二人に呆れて、

あたしは、部屋に戻って荷物の整理をしようと思った


今週の日曜日、あの段ボールたちと一緒に笑也の部屋にお引っ越しする



今、あたしの耳には、あのとき置いたイヤリングが、

そして指には、

イヤリングとお揃いの石がついた指輪が、


誇らしげに、あるべき場所にいる。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫