《MUMEI》

「・・・・なぁ」

「なーに?」

「ヤらねぇ?」

「・・・・いいよ」

暑いからヤりたくなかったけど、断るのも面倒で、あたしはこっくり頷いた。この人は往々にしてあたしの意見を聞き入れてくれない。優しいのは見掛けだけだったりするけど、それに気づいていて付き合ってるから責めることもできない。


一辺倒に身体を舐められたり触られたりしながら、あたしはくるくる廻る扇風機を眺めていた。

なんだっけ。何に似ているんだっけ。くるくる、くるくる。
下手な愛撫があたしの思考を邪魔する。

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